文献紹介
バザン病類似の白癬性肉芽腫,他
pp.901
発行日 1963年10月1日
Published Date 1963/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203606
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著者の報告する2例は,夫々10年および4年以来下腿に慢性の結節を多数生じたもので,発疹の外観からはバザン硬結性紅斑に類似していた。しかしバザン病と異なるところは,対称性が明瞭でなく,1例においては片側性であり,また結節の位置が比較的浅在性であつた。組織学的には真皮下部に毛嚢を中心とする肉芽腫性浸潤が存し,これは類上皮細胞,巨細砲,組織球,リンパ球から成り,所々に多形核白球が小膿瘍を形成していた。PAS染色によると菌糸は毛においてのみ見られ,他の部分には全くこれを証し得なかつた。培養によつて猩紅色歯を得た。白癬菌の看嚢侵入は屡々急性炎症性反応を生じ禿瘡の形となる。この結果,毛は脱落し,感染は消失して,病巣は自然治癒する。ただし猩紅色歯に対する人体の反応は一搬に弱く,本症例の如く肉芽腫を形成した理由もこれにあると思われる。すなわち皮膚の反応が激しくないために感染毛は脱落せずに毛嚢内に残留し,これが慢性型の反応を惹起したものと推察される。本症例にグリセオフルビンを投与したところ,期間はやや長かつたが治癒せしめ得た。(Hellier,F.F.:Trichophytic Granuloma Simulating Bazin's Disease. Brit.Med .J.,Sept.8,644,1962)
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