文献紹介
緑膿菌に対する外用薬/紅色陰癬の原因菌
pp.1043,1051
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203399
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Howie教授は感染症の予防と治療についての論述の中で,局所薬としてcolistinとpolymyxinとは緑膿菌に対する作用を有するゆえに特に重要であるとしている。著者は局所抗菌剤としてPolynoxylin(イギリス商品名Anaflex)が過去2年の経験から注目すべき薬剤と考えている。本剤はフォルムアルデヒドと尿素とを縮合した簡単な化合物であるが,甚だ広い抗菌スペクトルを有する。特に黄色葡萄球菌には有効で本剤に耐性を示す株は従来一つも見られなかつた。これはこの菌の株の50%に耐性を示すペニシリンと甚だ対照的である。Polynoxylinはまた試験管内においても人体においても変形菌と緑膿菌とに対して効力を示す。臨床的にも緑膿菌感染による下腿潰瘍5例が速かに治癒した。本剤はなおClostridium welchiiおよびCandida albicansによる局所感染にも臨床的に有効であつた。polynoxylinは皮膚科領域のみならず,上記諸菌の感染の起り易い外科的疾患に対しても価値があると思われる。本剤は外用のみで,内服薬としては製剤が未だにない。(Alexander, J. O. D.:A Local Antibacterial Agent, Lancet, ii. 199. 1962)
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