Japanese
English
原著
泌尿器科領域に於けるリピド・トロンボプラスチンの使用経験
EFFECT OF LIPIDTHROMBOPLASTIN IN UROLOGY
三矢 英輔
1
,
前川 昭
1
,
内山 記世之
1
Hideo MITSUYA
1
,
Akira MAEKAWA
1
,
Kiyoshi UCHIYAMA
1
1名古屋大学医学部泌尿器科教室
1Department of Urology, School of Medicine Nagoya Universiy
pp.681-685
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203107
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Ⅰ.緒言
泌尿器科領域に於ける止血剤の使用の大部分は手術後の止血であり,従つてその適応は一般の外科手術と同様に考えてよいが,然し乍ら泌尿器特有の事情がない訳でない。即ち尿路に加えられた手術は術創が絶えず尿と接触するため溶血を来たし,仲々血尿のとまらぬ事,尿路に出現する大出血は膀胱タンポナーデを生じて尿通過障碍を来たすこと,尿道を通過出来ぬ凝血塊は簡単に尿閉になること等である。従つて腎摘出術,腎固定術のように尿路に出血を来たさぬ手術を除いて,大多数の泌尿器手術では出来るだけ術後の出血を少くし且つ早期に止血出来る強力な止血剤の出現が切望されている。
又術後の出血が手術の成否の鍵を握る尿道成形術,泌尿器科医を最も悩ます所謂特発性腎出血の治療にも止血剤の占める役割は大であり,その他結石,結核,膀胱炎等の場合にみられる血尿に対する止血剤の役割は単なる止血を目的とする対症療法の一つに過ぎない。主症状又は随伴症状として血尿を訴える患者は昭和21年より昭和33年迄の13年間の著者の統計によると,外来患者では総数21169名中3001名約14.2%,入院患者では2582名中853名約32.9%の多数に登り,止血剤の必要性は相当高いのが現状である。
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