Japanese
English
皮膚科図譜・107
Bowen病
BOWEN'S DISEASE
森 秋津
1
,
青木 敏郎
1
Akitsu MORI
1
,
Toshio AOKI
1
1神戸医科大学皮膚科泌尿器科教室
1Dept. of Dermat. & Urcl. Kobe Medical College
pp.307
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202793
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- Abstract 文献概要
【患者】53才 男子
約3年前より胸部右大腿部に,円形帯紅色の疣状皮疹が生じ,漸次大きくなり時に表面湿潤する。最近,各所に同様皮疹が増え,さらに腋窩リンパ腺の腫脹に気づいた。来院時右大腿そけい部直下に5×2.7cmの境界明瞭かつ多少鋸歯状の皮膚面よりやや隆起した暗褐色の局面をみる。表面浸潤し周辺部は顆粒状ないしは疣贅状をなし,一部を剥離すると少量の漿液をもつ浅い潰瘍面がみられる(第1図)。その他,前胸部では1.0×1.2cmの暗褐色の痂皮をつけた疣瞥状皮疹,右下腿内側および足背にもそれぞれ小指頭大の同様皮疹を認める。組織学的には著明な角買増殖一部錯角化を認め,棘細胞は大小染色性不同,配列も不規則となり,とくにその原形質中に空胞形成とクロマチンに富んだ2〜3個の核が塊まつた所謂Clumping cellがみられる(第2図)。また所によりDyskeratoseを認める。基底層には一般に乱れがないが,標本によつては真皮中に癌性化した表皮細胞の浸潤をみる個所もある。真皮上層にはかなり著明な小円形細胞よりなる細胞浸潤を認める。腋窩リンパ腺では明らかな癌性浸潤がみられた。かかる像から本症を癌前駆症とするよりLeverのいう如く棘細胞癌に包含されるものと考えたい。
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