Japanese
English
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光沢苔癬の1例に就いて
ON A CASE OF LICHEN NITIDUS
西原 勝雄
1
,
木下 瞭
1
Katuo Nishihara
1
,
Ryo Kinoshita
1
1金沢大学医学部皮膚科泌尿器科教室
1Dermatourological Clinic University of Kanazawa
pp.667-670
発行日 1957年8月1日
Published Date 1957/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202018
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緒言
1907年Pinkus1)がその9例を提示し,始めてLichen nitidusとして記載した一皮膚疾患の病像は既に当初より殆んど余す所なく描かれて,その後幾つかの症例が追加されてもその典型的な病像そのものは補足されることが少かつた。本邦に於ける本疾患の報告は大正13年土肥名譽教授2)の第1例に始まる。光沢苔癬なる訳名も亦同教授に依つて与えられたものである。爾来30有余年後の今日までに記載された症例は僅か10数例に過ぎない。即ち著者等の渉猟し得た限りでは,宮沢(千)氏3)の2例以下渡辺4),河辺5),宇野6),宮沢(稔)7),広田8a),皆見・吉田9),飯田10),上出11),足立12)氏等の各1例である。なお,本邦第1例の記載に先立ち,大正8年広田氏8b),は本症か扁平紅色苔癬か疑問の1例を報告しているが,土肥名誉教授は之を光沢苔癬に属せしめるべきものとされている。
光沢苔癬は後に述べるような,その臨床的特徴に拠つて一応之を独立疾患と看做すべきものであると同時に,その組織像に於いても亦特徴とすべきものがある。然し乍ら本症と扁平紅色苔癬との関係に於いては,両者が同一患者に合併する等のことに拠つて,その近縁性を説く学者もある。また扁平紅色苔癬に於いても光沢苔癬と類似な組織像即ち巨細胞の出現を見ることもある。
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