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遺伝性顔面細血管拡張症について
吉田 良夫
1
1東北大学医学部皮膚科教室
pp.188
発行日 1956年4月1日
Published Date 1956/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201648
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最近我々の外来に顔面主として頬の血管拡張性潮紅を主訴として来院する患者が増加してきた。これはHammerその他がteleangiektatischeWangenröteとして記載研索している例に相当するもので,本邦に於ては皆見が酒飯との関係に於て顔面毛細管拡張症Teleangiectasia facieiとして簡述しているが,伊藤はその著書遺伝皮膚病学に於て遺伝性顔面血管拡張症Teleangiectasiafacieiとして詳述している。(なお同書に血管拡張症とせるは細血管拡張症の誤りであつたと私聞している。)
本症の遺伝に関してはHammerは親子同症21例をあげて単優性遺伝説を唱道したが,Siemensは促因的影響も顧慮してむしろpolyidならんとしている。更にCurtiusは所謂Status varicosusの名称の下に血管拡張症乃至血管腫の外に痔核,精系静脈瘤,習慣性衂血等を包括せしめ,加之結締織形障碍の意味からヘルニヤまで加えて一種の素質を認めんとしているが,Siemensはこれに激しく反論している。私は最近の経験例につき二,三検索したので報告する。
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