薬の臨床
子宮頸癌患者の血液所見に及ぼす脂溶性ビタミン
舘野 政也
1,2
,
矢吹 朗彦
1
,
林 政宏
1
,
上島 半治
1
Masaya Tateno
1,2
1金沢大学医学部産科婦人科学教室
2富山県立中央病院産科婦人科
pp.661-666
発行日 1970年7月10日
Published Date 1970/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204251
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緒論
従来から悪性腫瘍の治療法として外科的療法と放射線療法が,いわゆる根治療法として行なわれているが,特に子宮頸癌の場合はむしろ放射線療法が主たる位置を占めつつあることは周知のところである。殊に欧米では手術療法はその姿を消しつつあるといつても過言ではない。しかし,放射線療法といつても癌病巣のみをとらえてγ線を照射できるわけでなく,必ず健康組織の部分までその影響が及んでしまうことは言をまたず,また,癌病巣のみに対する照射は小線源による直接照射によつても不可能に近い。そこで,このさい副作用の問題が必然的にクローズアップされてくる。すなわち,副作用としては隣接職器例えば,直腸,膀胱障害をもみのがすことはできないが,血液系に対する副作用,例えば,白血球減少,貧血(溶血による)あるいは栓球減少などが重要視されており,この予防の意味で現在まで種々の薬剤が使用されてきているが,十分な治療効果を期待することは不可能な現状である。我々は今回,脂溶性ビタミンであるVitamin E (以下V.E)およびVitamin K1(以下V.K1)が60Co照射による治療中の子宮頸癌の血液所見に対していかように影響するかを観察したので少数例ではあるが以下報告したいと思う。
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