皮膚科図譜・54・55
疣贅様表皮発育異常症/スポロトリコーシス
福代 良一
1
,
香川 三郎
1
1東大皮膚科
pp.869-870
発行日 1955年10月1日
Published Date 1955/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201508
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36歳男子。両親に血族関係なく家族に同病はない。皮疹は幼時まず背部に現われ以後緩慢に増大した。その間人工太陽燈照射を受けたことがある。時に軽い痒みを覚える。皮疹は現在主に躯幹にあり,特に背部に密で,その他前額,上肢にもあるが,下肢には殆どない。個疹は扁豆乃至爪甲大円いものの他に角ばつたものもあり,扁平に僅かに隆起し淡紅乃至蒼紅色,また暗褐色のものも混り,少許の鱗屑を附するものもある(第1,2図)。組織像(第3図,H-E染色):軽度の角質増殖はあるが不全角化はない。表皮層はやゝ肥厚し,そこに表皮細胞の特異な変化として所謂澄明変性が認められる。即ち棘細胞が膨化して明るく見え,原形質は薄く藤色に染まり,核は変形,萎縮乃至空胞化している。なおケラトヒヤリン顆粒が大小の凝塊をなして存在する。
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