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長期無尿症の大静脈内高張葡萄糖液注入療法に就て
楠 隆光
1
,
伊藤 本男
1
,
鈴木 昭
1
,
佐藤 昭太郎
1
1新潟大学泌尿器科
pp.505-508
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201456
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泌尿器科領域に於ける最大の危険は,腎実質障碍による長期の乏尿乃至は無尿症である。そしてかかる場合の中には,例えば腎結核の末期の様に,回復不能な腎実質の破壊もあるが,その多くの場合は,例えば内科的疾患として急性腎炎,内科と外科の中間的疾患としてCrush syndrome,不適合輸血後の障碍等,及び純泌尿器科的のものとして部分的腎剔除術,腎切術等の保存的腎手術直後の一定期間の様に,腎実質障碍は一過性で,ある期間後には正常範囲迄回復する望みが充分にあるものである。故に前者に対しては加療の方法はないが,後者に対してはその無尿期間中をなんとか持ち堪えさせれば,患者の一命を救い得る訳である。そして,既に述べた保存的腎手術と言うものが多数に施行される様になつて来た昨今には,我我はその必要性を一層強く感じつつある。
我々の教室でも最近になつてしばしばかかる長期無尿症に遭遇して,その治療法としてRussell et al.(1954)の大静脈内高張葡萄糖液注入法を施行して,見るべき成績を得ている。茲にその経験を述べて見たい。
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