増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅲ 男性尿道・陰茎および腹壁の局所解剖
1.男性尿道・陰茎
包茎手術
仁藤 博
1
Hiroshi Nito
1
1武蔵野赤十字病院泌尿器科
pp.158-159
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902048
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包茎の手術には背面切開法もあるが,背面切開では術後の外観に対する不満が多い1)ので,なるべく環状切開(circumcision)を行う。手術の要点は,包皮の皮膚はきわめて薄いのでメスでなるべく薄く切開する。鋏は使用しない2)。図1は陰茎の断面図(中央部)である。陰茎の皮膚(真皮)の直下には皮下組織があり,真皮の下からBuck筋膜に至るまで皮下組織である。この皮下組織の中に浅陰茎筋膜(Colles筋膜)がある。Buck筋膜は陰茎海綿体および尿道海綿体を直接包みこむ筒状の筋膜で,遠位は亀頭冠に結合している(図2)。包茎手術に関与するのは浅いColles筋膜であるが,これがはっきり認識される場合とそうでない場合がある。個人差が多い。この弾力性に富む皮下組織は移動性に富み,勃起に際し重要であるからなるべく残すようにする。陰茎皮膚は非常に薄いだけでなく引張に際してきわめて弱いので,狭い包皮輪をペアン鉗子で鈍的に拡大することは容易である。
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