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膀胱エンドメトリオーゼ
古沢 太郎
1
1北海道大学医学部泌尿器科教室
pp.129-132
発行日 1955年3月1日
Published Date 1955/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201376
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緒言
いう迄もなくエンドメトリオーゼとは,子宮内膜と同一又は極めて酷似した腺組織が異所的に他の臟器組織に発育し,月経周期に一致して子宮粘膜におけると同様な変化を示すものであるが,かゝるエンドメトリオーゼは子宮,卵巣,卵管等女子生殖臓器及び骨盤内腹膜に多く,又其他臍部,鼠蹊部或は開腹術後の瘢痕創に発生する事もある。Sampson(1925)又びJenkinson(1943)等によれば成年婦人の10〜20%の相当高率に見られるものであるという。然し泌尿器科領域におけるエンドメトリオーゼは稀にしか見られないもので,しかもその大半は膀胱におけるものであつて,他の泌尿器臓器ではO'Conor & Greenhill(1945)の尿管の1例とMarshall(1943),Maslow &Learner(1950)及びFruhling & Blum(1951)等の腎における各1例計4例を数えるに過ぎない。
又全エンドメトリオーゼに対する膀胱のそれの発現率はJenkinson(1943)等の9%(16/176)より.polster(1926)の0.5%(5/1000)又はMasson(1942)の0,3%(2/576)等に至る迄種々である。
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