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毛髮の研究(第3報)毛髮の成長に就いて
大矢 正己
1,2
1慶応義塾大学医学部皮膚科泌尿器科教室
2国立大蔵病院皮膚泌尿器科
pp.543-546
発行日 1954年9月1日
Published Date 1954/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201270
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緒言
毛髮の成長に就いては種々の報告がなされて居る。即ち香取1)に依ると毛は発生してより全く同一の率で成長し,成長停止後ある期間後に脱落する。即ち成長期,成長停止期の2期に分たれ,成長停止期に入つた毛は脱落する迄其の長さに増減を来さないと云う。Bulliard2)も略同様の事を述べて居る。性及び年齢的の関係に就いては毛髮の成長速度はFuhs3)に依ると15〜30歳特に25歳が最大で,50〜60歳の間では著明に減ずると云い,谷野4)に依ると男子では20歳以後は次第に減少し女子では30歳迄は増加し其の以後は急に減少すると云う。又前田5)に依ると青壯年者は老年者に比して一般に大であると云う。部位的の関係に就いてはFuhs3)に依ると毛髮の成長速度は後頭部が最大で側頭部が最小であつたと云い,谷野4)に依ると側頭部は頭頂部より良好であるが,同一人の同一部位でも個々の毛髮に依り差異があると云う。季節の影響に就いては谷野4)に依るとBert-hold,Nagelschmidt,Schmidt等は毛髮の成長速度は季節に関係すると云うが,Fuhs3)は季節特に冬と夏の間に差異を認めなかつたと云い,Blo-ch6)も季節の影響はないと云う。其の他毛髪の太さに就いて酒井7)は秋期が最も細く,冬期から春期にかけて最も太くなると云う。又Bloch6)に依ると弱いレ線照射は毛の成長を促進しなかつたと云う。
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