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腎盂乳頭腫症例
外松 茂太郎
1
,
山中 一淸
1
1京都府立医科大学皮膚科泌尿器科学教室
pp.527-530
発行日 1954年9月1日
Published Date 1954/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201265
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I.緒言
腎盂乳頭腫は1840年Rayer1)の剖検例を始めとし,本邦では明治36年松岡2)の報告を嚆矢としている。本症に関しては3)高橋—大場—山口が本邦症例39例を基として総説を試み,最近では志田—駒瀨4)(昭26年)が本邦症例92例を集めて種々考察を加えている。又教室の小田助教授等5)は襄に尿管結石性水腎に発生した腎盂乳頭腫症の1例を報告して,其の発生病理に関し興味ある見解を発表して居られる。
然しながら諸家の報告を見るに,本症に対する臨床的診断は甚だ困難なるものとされ,特に特発性腎出血,腎実質腫瘍との鑑別に苦しむこと勘からざるものゝ如く,武藤6)は腎腫瘍としての診断で満足しなければならないと迄云つている。又本症の悪性度に関しては由来種々論ぜられている所であるが,確実なる結論は将来に残されている如き観がある。
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