特集 ホルモン研究の進歩
皮膚とホルモン
片岡 八束
1
1京都府立醫科大學皮膚科教室
pp.738-750
発行日 1953年11月20日
Published Date 1953/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201090
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緒言
余等は昭和9年以來皮膚を以つて一種の内分泌臓器なりとの見解を持し,是に關する研究を行つて來た。而して現在是に關する研究の大概を盡し其の基礎的研究の大要は本春3月發行の京都醫學會雑誌第4巻第3號上に發表した。更に皮膚「ホルモン」の捕捉方法,是が命名,其の生物學的作用並に臨床的治療効果等に就ては斷片的に屡々發表したが,其の總括的記載は昭和24年7月發行の日本内分泌學會雑誌第25巻第1〜3號誌上に發表した。
而して余等が分離捕捉せし皮膚「ホルモン」即Esophylaxinの生物學的作用を知らんとして検索せし甲状腺並に副腎髄質に封する作用,其の他血糖に及ぼす作用及びCalcium代謝に及ぼす作用等よりして,内分泌臓器としての皮膚と爾他内分泌臓器との關聯に就き検討を加え,其の結果内分泌臓器としての皮膚は甲状腺並に副腎髄質とは協同的に作用するものなる事を知り,是に反し上皮小髄とは拮抗的に作用するものと帰納し得た。更に膵臓との關係は余等の皮膚ホルモンは輕度ながら膵臓内分泌をも亢進せしむる作用を有し,而かも本作用が内臓神經の亢奮に由來する所以を想定し得た。
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