特集 ホルモン研究の進歩
皮膚疾患に於ける2,3の女性ホルモンの問題
安田 利顯
1
,
藤辺 光子
1
1關東遞信病院皮膚科
pp.751-758
発行日 1953年11月20日
Published Date 1953/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201091
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性ホルモンと皮膚變化の關聯については,古くから注目されて來た。それは思春期になつて,皮脂腺,汗腺,特にアポクリン腺の働きが盛になり,毛髪,皮下脂肪組織の發育,角質肥厚を促進するという生理的な面からだけでなく,屡々月經,妊娠に伴つて紅斑,蕁麻疹,濕疹性病攣を發生することからも推察出來る。且つ性器病變に伴つて,諸種の皮膚病變を發生することも珍らしくない。
この際原因として,性ホルモン分泌減少,過剰或は他種ホルモンとの均衡の失調等があげられる。今ここに述べる女性ホルモンは,膿内に於ける男性ホルモンとの比が,例えば尋常性痤瘡の場合の樣に,單獨ホルモンの増減以上に重視される場合もある。然も,女性ホルモン分泌異常が明らかに臨床的に證明出來ない場合に於ても,屡々潜在性の内分泌異常状態が,諸種皮膚病變發生の成因となることがある。この状態を,吾々はさきに潜在性内分泌機能異常(Subclinical Endocrinopathy)1)として記した。
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