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腎臟に轉移した前立線癌の1例
中下 靜夫
1
,
松田 伸
2
1鳥取大學醫學部・皮膚科學教室
2鳥取大學病理學教室
pp.333-334
発行日 1952年7月1日
Published Date 1952/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200756
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癌の治療は前癌状態の時の手術,或は早期に發見して剔出するのを根治療法とするのである。癌の發生場所にもよるが手遲れになつて臨床家を訪れ,己に周圍組織の浸潤及び轉移を來たしている事が多い。前立腺癌に於て癌組織の浸潤が周圍組織及び骨盤臓器,腎等に轉移し手術の時期を逸した場合には,姑息的にレ線照射,ラヂウム療法等が行われていた。1941年Hugginsが大量の女性ホルモン投與と去勢とによる前立腺癌治療の有効なるを發表して以來,欧米に於ても亦我邦に於ても大いに注目され,盛んに追試研究される樣になつた。本療法は根治療法ではないが,腫瘍の萎縮,進行の停止を來たし,轉移したものにも有効であることは前立腺癌の治療上に一大躍進をもたらしたと云えるであらう。
我々は最近前立腺癌患者に,腎臓轉移腫瘍を剔出し,且去勢術及び女性ホルモン投與によつて,排尿困難,歩行困難及び他の自覺症を輕快させた1例を報告する。
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