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凍瘡のRutin療法
塚田 進
1
,
菊池 省吾
1
1東北大學醫學部附屬病院長町分院皮膚科泌尿器科
pp.8-9
発行日 1951年1月1日
Published Date 1951/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200443
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はしがき
凍瘡の素因には先天性或は後天性があり,その發症には兩者の共同作用による場合が多い。性と年齡も亦本症の素因を提供する。凍瘡は若年者と,一般に纖細な軆質をもつ婦人に多い。また體質異常例えば發育不全性體質,淋巴體質,迷走神經緊張等も一役を擔うと云われる。然し窮極のところ本症發症は血管系の劣質という血管の機能不全に歸せられる。即ちこの血管系では皮膚小動脈は痙攣性收縮を起し易く,毛細血管並に細小靜脈は擴張し鬱血を起し易く,從つて細小血管壁の透過性は昂進する。由來凍瘡に罹り易い個體の四肢末端,身體突出部等は既に紫藍色を帶び,多少とも饅頭形に腫脹し,濕潤し且つ冷厥なものが多い。これは血管系劣質の臨牀的表現であり,このような基盤の上では凍瘡の發症は容易となる。又凍瘡の後天的素因としては榮養不良,消耗性腸炎,慢性アルコール中毒,慢性ニコチン中毒,結核,萎黄病,貧血等の全身性状態が問題となり,局所的には手,足の緊縛,保温被覆状況の不良などが顧慮せられる。なお一定の職業によつても發生し,例えば洗濯,料理等水使用の頻繁な人にもみられる。
そこで凍瘡療法は當然この血管系の劣質と關係あると思われる全身性並に局所性因子を對象として工夫されて來た。即ちホルモン療法殊に合成卵胞ホルモン,男性ホルモンを以てする療法,亞砒酸,鐵,キニーネ,肝油等一般強壯變質劑が使用される所以である。
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