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原發性紅皮症の原因的考察
栗原 善夫
1
1大阪醫科大學皮膚泌尿器科教室
pp.141-145
発行日 1950年4月1日
Published Date 1950/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200332
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まえがき
さきに原發性紅皮症群の一部に結核性及び假性白血病性紅皮症の存在が確認され,之等がすべて續發性紅皮症群に移屬せしめられた前例にならえば,原發性紅皮症は原因の闡明につれ,漸次崩壌してゆき,やがて消滅し去る運命にあると云える。しかしながら目下の原發性紅皮症を具さに眺めると漠然ながら一種固有の性格を具えているように感ぜられる。續發性のそれに比べ特徴に乏しく,診断に際しては諸多の類症を除外してのみ決せられる現状である。このつかみ所のない事自體が本症の特徴であると云えば云える。この意味に於て目下の原發性紅皮症はたしかにSui Generisの紅皮症としてその位置を與えられてよいと思う。
本症群を一般の理解する所に從つて分類すると,經過により急性,亞急性及び慢性の3群に分たれ,その各々に特異性のものと然らざるものとを區別出來る。そして特異性のものは,Féréol氏再發性剥脱性猩紅熱様紅斑,Wilson-Brocq氏落葉状皮膚炎及びHebra氏紅色粃糠疹の3症が之を代表する。之等3症の最も特異視すべき點は第1症に於ては急性經過(1週〜1月)と再發であり,第2症に於ては亞急性經過(3〜8月)と脱毛及び爪變の高度と早期發現であり,第3症に於ては慢性經過(1年以上)と皮膚萎縮であると要約してよい。
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