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泌尿器疾患の分離尿中のベニシリン濃度について
駒瀨 元治
1
1東京大學醫學部附屬醫院分院泌尿器科
pp.121-124
発行日 1950年3月1日
Published Date 1950/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200328
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體内に投與されたペニシリンは,分解される事なくそのまゝの形で尿中に排泄される事は,Florey, Abraham(1)により認められ,更にDaws-on,(2)Rammelkamp(3)等の綜合的研究により確認された.Rammelkamp, Keefer(4)によると投與量の37〜99%,平均50%は何等變化を受ける事なく,1時間以内に尿中に排泄される.ペニシリンが使用され始めて間もない頃Chainは不足のペニシリンを實驗患者の尿から回收して實験を經續し中野(5)はペニシリンを用いた患者の尿から之を回收して臨床的に使用した又。腎臓からのペニシリンの排泄はRammelkamp, Bradley(6)によると腎細尿管及び糸毬體から行われ,Rake(7)によると正常腎では尿中に出るペニシリンの80%は腎細尿管から,残りの20%は糸毬體から排泄される.以上の樣にペニシリンの主な排泄路は腎臓であるから,之の疾患の際排泄の遅延血中濃度の持長が起る.此の事實はRammelkamp, Keef—er,(4)Garrod(8)により指摘され,又上田(9)は腎疾患,殊に細尿管のおかされるネフローゼの際排泄の遅延のある事を明らかにした.
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