特集 成人先天性心疾患 エキスパートコンセンサス
序文
赤木 禎治
1
1岡山大学循環器内科
pp.344-345
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200493
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すでに国内には50万人を超える成人期に達した先天性心疾患患者が存在すると言われている.循環器内科医,小児循環器医だけでなく,一般内科医にとってもいつかは遭遇する,もしくは既に実臨床で対応する必要性のある疾患群となっている可能性がある.
残念なことに,成人先天性心疾患の診療や治療では高いエビデンスで治療方針が確定している領域は限られており,過去の経験もしくは他の疾患群の治療を参考に個別の治療が行われているのが現状である.これは成人先天性心疾患といっても多種多様の病態があり,同一の疾患名であっても個別の患者の病態には大きな違いがあることが一因である.日本循環器学会を中心に国内でも成人先天性心疾患領域のガイドラインは発行され改訂も加えられてきたが,循環器領域の他領域のようにエビデンスレベルの高い推奨項目は非常に限られているのが実情である.特に肺高血圧,Fontan術後,妊娠・出産など,疾患そのものの多様性が大きいため,管理や治療については十分なエビデンスは確立していない.そして何よりも,このような患者の診療が成人先天性心疾患領域の最も重要な位置を占めているのである.
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