特集 抗血栓療法—日常臨床での疑問に応える
Ⅴ.周術期・その他の抗血栓療法
心内(左室内・左房内)血栓に対する抗血栓療法の注意点は?
藤野 雅史
1
1国立研究開発法人国立循環器病研究センター冠疾患科
pp.720-727
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200432
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Point
・予防の観点では,つまり心内血栓の既往がない症例では,左室内血栓の予防に対する抗凝固療法のエビデンスはなく,心房細動の左房内血栓に対する予防のための抗凝固療法は確立されている.
・左室内血栓に対する抗血栓治療はビタミンK拮抗薬(ワルファリン)であり,新規経口抗凝固薬(DOAC)のエビデンスは乏しい.
・左房内血栓に対する治療は確立されたものはないが,綿密な画像検査による血栓の観察下にワルファリンもしくはDOACによる抗凝固療法を行う.
・心内血栓に対する抗血栓療法については,冠動脈インターベンションに対する抗血小板薬と同様,血栓塞栓症に対する効果(efficacy)と出血に対する懸念(safety)を患者個別に考慮し,その適応を検討する必要がある.
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