書評
—小室一成/総編集・専門編集—循環器内科専門医バイブル 1—心不全—識る・診る・治す
小川 久雄
1
1国立循環器病研究センター
pp.668
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200210
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世界でもトップレベルの長寿社会に入った日本では,今後医療問題が益々大きな課題となってくる.そして医療費という点からは,日本では循環器系疾患が20%と最も高い割合を占めている現状がある.なかでも心不全の増加が顕著であり「心不全パンデミック」と呼ばれるようになってきた.日本循環器学会では全国に1,353施設あるすべての循環器専門施設と協力施設212施設の合計1,565施設から循環器疾患診療実態調査The Japanese Registry Of All cardiac and vascular Diseases(JROAD)を行い,2012年からは心不全患者の入院数も調査し21万人から2016年には26万人となっている.増加の程度は著明で今後もさらに増え続けると思われる.これは日本のみならず世界的な傾向でもある.
これに対して,日本循環器学会と日本心不全学会は関連11学会とともに「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」を作成した.このなかには心不全の一般の方への啓発活動として,分かりやすい表現で「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気」と定義されている.さらに日本循環器学会では日本脳卒中学会,さらに関連19学会と協力して「脳卒中と循環器病克服5カ年計画」を策定し発表したが,このなかでも心不全に注目している.特に予防の重要性も記載している.
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