特集 ACSの診断と治療はどこまで進歩したのか
序文
阿古 潤哉
1
1北里大学医学部循環器内科学
pp.556-557
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200082
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急性心筋梗塞や不安定狭心症といった疾患を含む概念である急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)の診断・治療は大きく変化しつつある.日常臨床で多く遭遇する疾患でありながら,われわれはACSの概念そのものも十分定義できておらず,また,その病理像も多様なものであることがわかっている.血行再建術により予後は大幅に改善したとはいえ,今もACSは予後不良の疾患の一つである.そうであるがゆえに多くの臨床試験が行われ,常に新たなエビデンスが創出されてきている分野となっている.今回の『循環器ジャーナル』ではACSの多くの側面に関してエキスパートの方々に解説いただいた.
まずACSの基礎知識として,定義,疫学,病理をまとめることとした.時代とともに変遷してきているACSの疾患概念をどのように見るか.新たな定義の下でわが国での疫学の最新のデータは変化しているのであろうか.ACSの病理の最新知見に関しても一項目を割くこととした.
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