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・結核の治療は現在では化学療法が中心であり,大半の結核は化学療法で治癒させることができる.抗結核薬には抗菌力が強く初回治療に標準的に用いる一次抗結核薬と,抗菌力は劣るが一次抗結核薬が使用できない場合に用いる二次抗結核薬がある.
・1970年代にリファンピシン(RFP)が登場して以降長く承認されない状況が続いていたが,RFPと同じ系統の薬剤でリファブチン(RBT)が薬剤相互作用あるいは副作用のために使いにくい場合の代替薬として2008年に承認された.その後キノロン系抗菌薬であるレボフロキサシン(LVFX)が2015年に抗結核薬として承認された.また新たに新規抗結核薬デラマニド(delamanid;DLM)が,多剤耐性肺結核症(multi-drug resistant tuberculosis;MDR-TB)の治療薬として2014年に承認された.そしてベダキリン(bedaquilin;BDQ)が米国で2012年12月に承認され,日本でも2018年4月に使用が可能となった.
・新規抗結核薬の使用にあたっては慎重に検討し,新たな薬剤耐性をつくらないように十分に使用を検討しなければならない.また有効な感受性薬剤数が少ない場合外科的治療の適応の検討も必要となる.
・肺非結核性抗酸菌症,特に肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の治療効果においては,クラリスロマイシン(CAM)のみがすべての肺MAC症に効果のある唯一の薬剤である.CAM耐性は初回治療例ではほとんど存在しない.EB,RFPはCAMと組み合わせることによって効果を発揮する.CAM単剤あるいは2剤治療となると,CAMの耐性化を生じて治療の継続が困難となる.
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