扉
誡
鮫島 寛次
1
1東邦大学大橋病院脳神経外科
pp.1161-1162
発行日 2003年11月10日
Published Date 2003/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902458
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今年の東日本医科学生総合体育大会は山梨大学脳神経外科の貫井英明教授を大会長として行われた.参加種目,選手数が国体並みとかで例年4校に競技種目が振り分けられ運営されている.筆者が部長を務めるバスケットボール部も主管をおおせつかった.その時,ある学校が他学部選手を登録し試合していた.ご丁寧にも写真入身分証明書を偽造していたのである.当初,否定していた責任者も「医師免許を偽造して医者をやるつもりかい」の一言で事実を認めた.普段一緒に練習しているのでつい試合に出したとのことであった.なんでそれで偽造までするの.医学生の常識はこんなものかと青くなった.
医療問題検討委員会のメンバーをおおせつかっている.これは数年前より脳神経外科の医療紛争が急増していることに驚き,なんらかの警鐘を鳴らさねばといくつかの学会のシンポ,パネルで報告したことに起因している.医療の質の向上のため,医療の技術,新しい手術方法,テクノロジーを追求することは医師の努めである.しかし,患えるものの視点で考え,事故や医事紛争を予防することも,医療の質を向上させる大きな柱と考え,あえて学会に発表した.判例の多くに医師個人の栄誉,医師の身勝手で命をなくすものがある.反論で自分を正当化する論点は,身分証の偽造に共通している.
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