Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
第3脳室前半部腫瘍の手術
Operative Approaches to Tumors in and around the Anterior Half of the Third Ventricle
岡本 新一郎
1
,
鳴海 治
1
Shinichiro OKAMOTO
1
,
Osamu NARUMI
1
1大阪赤十字病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Osaka Red Cross Hospital
キーワード:
operative approach
,
third ventricle
,
choroidal fissure
,
transchoroidal approach
,
suprasellar tumor
Keyword:
operative approach
,
third ventricle
,
choroidal fissure
,
transchoroidal approach
,
suprasellar tumor
pp.923-932
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902264
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Ⅰ.はじめに
第3脳室は脳の中心部にあるため脳神経外科医にとって最も到達が困難な部位の1つである.これまで第3脳室病変に対する外科治療については多くの議論がなされ,本誌に発表されたもの5,10,30)も含めて,既に優れた総説6,21,26)や手術書27)が発表されている.特に,Apuzzo編集のSur-gery of the third ventricle(初版1987年,第2版1998年)4)はこの問題に関する集大成ともいえる良著である.これらを総覧してみると,やはりこの部の手術の困難さを反映してか,いくつもの異なったアプローチが提唱されており,近年に至ってもなお最良のアプローチをどう考えるかについては議論が収まったとはいえない12,16,31).
一口に第3脳室前半部腫瘍といっても,その発生部位や性状が非常に多彩であるため,すべてに最適なアプローチなどあり得ないことは確かである.しかし,必ずしもそれだけではなく,似通った病変についても議論が分かれる理由として,次のような点が考えられる.まず第1に,この部の手術ではなんらかの神経組織の切開が避けられないが,それがはたして安全かどうかという点で評価が定まっていなかったこと,第2に,微小解剖の正確な理解と,その手術手技への応用が未だ不十分だったこと,第3に,元来この部の病変について1人の脳神経外科医が経験する症例が少ないことなどである.
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