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Ⅰ.はじめに
脳動脈瘤の直達手術では,安全かっ確実な頸部クリッピングが最大の目標で,そのためには,親動脈の確保,動脈瘤頸部の確認と,穿通枝の確実な温存が必須である.前交通動脈瘤の場合,頭蓋内の深部で術野が狭く,しかも関係する動脈が多いため,その達成が困難なこともある.手術法としてはpterional approachが最も一般的である8)が,正中に存在する前交通動脈瘤に対して左右どちら側を開頭するかについては,様々な意見がある.これまで開頭側を決める際に考慮すべき条件として,動脈瘤の向き1,5),左右の前大脳動脈A2部の前後関係2,3),A1部の血管径の左右差2,6),優位半球の側8),術者の利き手8)などが挙げられている.複数の条件の下で選択すべき側が互いに異なる場合,どの条件を優先すべきかという点については必ずしも一致しているとは言えず,また,それぞれの選択基準で実際にどの程度安全かっ確実なクリッピングが達成されているかを評価したものは少ない.評価が明確でない一因として,多くの報告では「安全性・確実性」や手術の「困難さ」の定義が曖昧であるためと思われる.
The safety and reliability of neck clipping of the anterior communicating artery (Acom) aneurysm via the pterional approach was evaluated in terms of craniotomy side in 39 consecutive cases operated on by the senior surgeon from April 1991 through March 2000. These aneurysms were approached in principle via the side where the proximal A2 portion of the anterior cerebral artery was located posteriorly, for the purpose of easier identification of all five arter-ies involved, i.e., A1 and A2 portions of the anterior cerebral arteries of both sides and Acom.
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