読者からの手紙
「慢性硬膜下血腫における術後残存空気と再発の関係」5)に対して
青木 信彦
1
1東京都立府中病院脳神経外科
pp.571-572
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902059
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最近,貴誌に発表された塩見らの慢性硬膜下血腫の再発についての論文5)を興味深く拝読いたしました.血腫腔に残存した空気が再発に関与するとの趣旨であります.小生は,これまでにも多くの学会で慢性硬膜下血腫の手術では空気を残さないようにする,とのanecdotalな概念が残っていることについての,批判をしてまいりました.塩見らの論文では,ドレナージチューブが血腫の最先端にまで挿入できなかった(Group II)の10血腫中4血腫(40%)に再発がみられ,これは最先端まで挿入可能であった血腫(Group I)に比べて,統計学的に(ρ<0.01)有意差があったというものです.しかし,著者らの手技,つまり術中の血腫洗浄に加えて数日間のドレナージを行っても,40%という高率な再発が生じたということについては,納得のいかない読者も多いと思われます.血腫の洗浄を行わなくとも,またドレナージチューブをどこに置こうとも,単なるドレナージだけで十分であるという経験をもつ施設は少なくありません6).また,空気の残存がなぜ再発に関与するのかについては,最もポピュラーな疾患の治療という点でも,きわめて興味深いものがあり,著者らに質問させていただくとともに,コメントを付け加えたいと思います.
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