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I.はじめに
現在の臨床医学には多くの医療機器が用いられているが,これらの機器開発を支えているのがに学技術の進歩である.特に近年は電子回路,機械的機構,センサー,マイクロコンピュータ等で構成される医療用電子制御機械,いわゆるメディカルメカトロニクスと呼ばれる種類の装置が多い.このメカトロニクス技術は,直接患者の命にかかわる治療機器の分野においても広く応用されているが,その反面メカトロニクスの代表的存在であるロボット技術は治療面,特に手術への応用に関して技術的な問題点が多くその開発は遅れている.この手術行為を支援する医用ロボットの目的は,医師と同じようにはさみやメスを持って手術をするものではなく,医師の手伝いや機械的な操作による処置の方がよい場合などに用いる支援的なものである.現実的に見た場合,将来の手術支援ロボットの主流は,患部に対して体外から経皮的に針を穿刺したり,極めて細い内視鏡を導人したりして,その先端に取り付けた様々なマイクロ装置により治療を行うシステムである.これにより,従来大がかりな手術を必要とした外科的疾患に対して,手術無しでかつ同等以上の治療効果が得られる様になるものと思われる.さらにこの方法は,従来の手術よりも患者に対する負担がはるかに軽くなるため治療の対象者が増えること,さらに従来では到達不可能で手術が極めて困難であったり,不可能であった患部に対しても治療が可能となることを意味している.特に,近年その技術的発展の著しいX線CTやMRIなどの医用画像技術,各種医用画像の三次元的統合技術,コンピュータグラフィックス技術,シミュレーション技術,レーザ技術等をロボット技術と組み合わせることにより,この種の乎術支援ロボットの応用範囲は外科系のあらゆる分野に広がるものと思われる.
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