Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
頸椎症に対する前方側方合併到達法—Trans-unco-discal approach(TUD法)
A Combined Anterior and Lateral Approach for Cervical Spondylosis—Trans-unco-discal approach (TUD method)
岸 廣成
1
,
白馬 明
2
Hiroshige KISHI
1
,
Akira HAKUBA
2
1大阪市城北市民病院脳神経外科
2大阪市立大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Osaka Municipal Shirokita Hospital
2Department of Neurosurgery, Osaka Cky University Medical School
キーワード:
Cervical spondylosis
,
Operative technique
,
TUD method
Keyword:
Cervical spondylosis
,
Operative technique
,
TUD method
pp.843-848
発行日 1992年8月10日
Published Date 1992/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900503
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I.はじめに
頸椎症に対する外科的治療法としては,椎弓切除術に代表される後方進入法と,前方より椎間板を摘出し,椎体の固定を行う前方進入法とがある.手術にあたっては,症状の発現機序を考慮して進入法が決定されるが,症状の発現には多くの因子が複雑に関与しており,その選択に苦慮することもある.頸椎症における症状の発現機序については,椎間板の退行性変化に伴い椎体辺縁に形成された骨棘,肥厚した靱帯,脱出した髄核などによって脊髄,神経根,椎骨動脈などが圧迫される直接の圧迫因子がある.また,胸腰椎と比べて可動性の大きい頸椎の部分では,頸部運動によって圧迫が増強すると言う動的因子も考えられる6,12,14).また脊椎管前後径が通常より短い場合(developmental stenosis)には,軽度の髄核の脱出や辷り症でも脊髄の圧迫がおこるため,脊椎管前後径も頸椎症を発現する大きな因子となっている3,5,16).一方脊髄の血行については,前脊髄動脈から中心動脈を介して頸髄の前2/3を養っており,脱出した髄核や骨棘によって前脊髄動脈や椎間孔部で,神経根の腹側を走行する前根動脈が圧迫されると血行障害がおこると言う虚血に関する因子もある4,10,11,15).
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