Japanese
English
総説
脳血管の間接的吻合術
Indirect Cerebro-Vascular Anastomosis
松島 善治
1
Yoshiharu MATSUSHIMA
1
1東京医科歯科大学脳神経外科学教室
1Department of Neurosurgery, Tokyo Medical and Dental University School of Medicine
キーワード:
Indirect EC/IC bypass
,
Cerebral revascularization
,
Chronic cerebral ischemia
,
Moyamoya disease
,
Encephalo-duro-arterio-synangiosis
Keyword:
Indirect EC/IC bypass
,
Cerebral revascularization
,
Chronic cerebral ischemia
,
Moyamoya disease
,
Encephalo-duro-arterio-synangiosis
pp.15-23
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900003
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
近年,ことに日本に於て,主としてモヤモヤ病に対してさまざまの間接的血管吻合術が行われるようになった3,9,25,26,31,41,71,72).その効果が次第に明らかになるにつれて10,11,24,39,43,63),脳の間接的血管吻合術はようやくその市民権を獲得したように思われる52).
脳の血流を増加させる手段としては,STA-MCAanastomosisで代表される直接的血管吻合術と,ここに述べる間接的血管吻合術とがあるが,直接的吻合術の有効性については何人も疑義を持たないところであろう.ところが先年の世界的規模の協同研究に於てSTA—MCA anastomosisは,多くの場面に於て内科的治療と比較して統計学的に有意の差が無い,という結果に終わった.このことはわれわれが脳にとって良かれと考えることが,必ずしも脳の立場からは好ましいものとは限らないことを意味しており,手術の適応の決定は慎重であらねばならないことを意味している.この点間接的吻合術は,いわば脳自体に適応を決定させるような手術であり,今後ますますその適応を拡大してよい手術と考えられる.逆の言い方をすれば,間接的血管吻合術が効果のある様な症例がすなわち脳の側からすれば直接的血管吻合術の本当の適応の有る患者といえるのでは無いだろうか.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.