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特集 一生使える頭蓋底外科の“知”と“技”—〔特別付録Web動画付き〕
Editorial
Editorial
森田 明夫
1
1日本医科大学脳神経外科
pp.495
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204579
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頭蓋底外科手術は,脳神経外科領域では1980年頃から盛んに取り入れられるようになった手術技術である.脳のretractionを極力排して頭蓋底部や脳中心部にアクセスし,それまでは手術をためらわれていた病変にも対応する武器を外科医に与えた.神経解剖学・生理学,そして病理学的検討の進歩も相まって,大きな熱をもって受容されてきた.
一方で,さまざまな代替え治療の発展や,多くの頭蓋底外科手術の経験から学んだpitfallに基づいて,現在では以前のように長時間かけて骨を削って行う大規模な「いわゆる」頭蓋底外科手術の頻度は低くなりつつある.ただ,現時点でも根治や症状改善のために頭蓋底外科手技が必要となる症例も多く存在し,通常または低侵襲の小開頭手術においても頭蓋底外科手技が重要な局面で必要となる.さらに,新たな分子生物学的知見やロボティクスのような技術も生まれつつあり,これらを頭蓋底外科疾患の治療に応用することも重要である.これまで頭蓋底外科手術から得られた解剖や病態の知見,神経や血管を安全に温存する術,脳への低侵襲コンセプト,新しい知識や技術を積極的に取り入れていく姿勢などは,次世代にしっかりと伝承していかねばならない.
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