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特集 脳血管内治療に必要な血管解剖学
Editorial
Editorial
田中 美千裕
1,2,3
1医療法人鉄蕉会 亀田総合病院脳神経センター
2医療法人鉄蕉会 亀田総合病院脳神経外科
3医療法人鉄蕉会 亀田総合病院脳血管内治療科
pp.469
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204938
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1959年,ジョージタウン大学の脳神経外科医アルフレッド・J・ルーセンホップは,47歳の女性の左大脳半球に存在する高血流の大きな脳動静脈奇形(AVM)に対して,頚動脈からカテーテルを挿入し,メチルメタクリレートで作られた直径2.5mm〜4.0mmのビーズを中大脳動脈に送り込むことで,nidusのサイズを大幅に縮小できたことを報告しています.その後,離脱式バルーン,プラチナコイル,マイクロカテーテル,ステントなど,さまざまなデバイスの開発と脳血管造影(DSA)装置の進化により,現代において脳血管内手術は脳血管障害の中核的治療法として確立されてきました.しかしながら,どの時代においても血管解剖学が重要であり,特に機能解剖学の知識と経験は手術を安全に行う上で不可欠です.例えるなら,正確な地図と道路情報がなければ,どんなに速いスポーツカーに乗っていても,目的地に安全かつ確実に到達できないのと同じです.
本特集は,脳血管内治療の専門医や指導医を目指す医師のための解説書です.知識としての解剖学だけでなく,臨床で遭遇する変異やDSAでは判別しづらい吻合を見極めるための解剖学,そして実際のマイクロカテーテル誘導時や塞栓物質の注入の判断,母血管閉塞の可否の判断において重要な機能解剖学に焦点を当てています.執筆は,現在臨床の第一線で活躍する若手の指導医の先生方にお願いしました.
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