扉
脳神経外科医のキャリアとサブスペシャリティー
高安 正和
1,2
1愛知医科大学
2稲沢市民病院脳神経外科・脊髄末梢神経センター
pp.3-4
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204126
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日本脳神経外科学会のキャッチフレーズ「外科医の目と技を持った神経系総合医」は,現在の脳神経外科医の特徴を実にうまく言い表している.神経系には脳,脊髄から末梢神経までが含まれ全身に張り巡らされているため,脳神経外科医は全身をくまなく診る必要がある.また,それぞれの神経組織にはさまざまな病態と治療法が存在するため,脳神経外科には実に多様なサブスペシャリティーが含まれることとなる.これは脳神経外科の強みとなっているが,多くのサブスペシャリティーが存在し,それぞれが独自に急速な発展を遂げているため,自分の専門外については十分に把握しきれないことも多い.幸い,毎年開催される日本脳神経外科コングレス総会において,ほぼすべての主要分野の最新情報が1つの会場において提供されており,脳神経外科医の卒後教育として大変うまく機能している.
さて,脳神経外科医各個人とサブスペシャリティーとのかかわりは,そのキャリアとともに変化していく.専門医取得前の研修医時代にはすべての分野をまんべんなく勉強して試験に備えるが,その後は個人の興味や医局・施設の状況などにより特定の専門分野を重点的に極めていくことになり,また,極める分野も年とともに変化することがある.私自身のことを振り返ると,若い頃は主に脳血管障害に興味をもった.卒後10年程経過した頃には,臨床では通常の脳動脈瘤クリッピング術,バイパス術,頸動脈内膜剝離術(CEA)など自信をもってできるようになり,研究面では脳血管攣縮や,米国留学中に学んだ脳の微小循環の仕事において成果を出すことができ,将来,自分は脳血管障害のスペシャリストになるのだろうと漠然と考えていた.
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