Derm.2020
皮膚科女性医師におけるサブスペシャリティー
宇賀神 つかさ
1
1東京医科歯科大学皮膚科
pp.58
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206014
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若年層を中心に女性医師の数は増加傾向にある.平成30(2018)年の厚生労働省の統計では,女性医師は全体で21.9%(71,758人)であるが,年代が低くなるほど比率は高くなり,29歳以下では35.9%を占める.皮膚科は女性医師にとって働きやすい診療科とされ,同じ統計でも,病院で勤務する医師のうち,皮膚科は,「女性の数が男性を超える」唯一の診療科となっている.私は当科の医局長を務めているが,こうした女性医師が,専門医取得後や出産などを契機に,退職するケースを多く経験してきた.医師になるために6年,初期研修に2年,専門医取得に最低5年を要し,13年以上を経て一人前の皮膚科医になった女性医師が,退職を選択するのは,女性が働きづらい日本文化や,それに基づく社会制度・福祉によるところが大きいと考えられるが,もったいないことである.一方当科では,アレルギー・腫瘍・発汗異常・フットケア等の多数の専門外来を設けており,それらを,多くの女性医師たちが支えている.育児をしながら常勤で勤務していくことが難しい女性医師も,非常勤という形で,自分が最も関心を覚える分野において,長く研鑽を重ねていく.私自身も,皮膚アレルギーという軸足を持ち,夫の転勤など家庭の事情で常勤勤務が難しいときは,非常勤に転じ,それを細々と続けてきた.サブスペシャリティーが,女性医師のキャリア形成において軸足となり,勤務を継続していくことのモチベーションになることを感じている.
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