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連載 脳腫瘍の手術のための術前・術中支援
(6)第四脳室腫瘍に対する開頭術
Pre- and Intra-Operative Supporting Technology for Brain Tumors(6)Cerebellomedullary Fissure Approach for Fourth Ventricle Tumors
柴原 一陽
1
,
隈部 俊宏
1
Ichiyo SHIBAHARA
1
,
Toshihiro KUMABE
1
1北里大学医学部脳神経外科学
1Department of Neurosurgery, Kitasato University School of Medicine
キーワード:
fourth ventricle tumors
,
cerebellomedullary fissure approach
,
uvulotonsillar space
,
medullotonsillar space
Keyword:
fourth ventricle tumors
,
cerebellomedullary fissure approach
,
uvulotonsillar space
,
medullotonsillar space
pp.361-369
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203510
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Ⅰ.はじめに
第四脳室周囲に発生する腫瘍は,髄芽腫,上衣腫,脈絡叢乳頭腫,そして毛様細胞性星細胞腫など多岐にわたる.腫瘍の進展方向や高位によるが,用いられる代表的手術アプローチとして,経小脳延髄裂アプローチ(cerebellomedullary fissure approach:CMFA)と後頭部経テントアプローチ(occipital transtentorial approach:OTA)が挙げられる.脳腫瘍摘出および血管性障害への対応を通じて,脳神経外科手術の中で最も頻用されるpterional approachと同様に,CMFA, OTAはいずれも専門医取得後確実に習得すべき技術と言える.しかしながら,第四脳室周囲の腫瘍は脳腫瘍治療を専門としていれば遭遇する可能性はあるが,テント上病変に比較すると頻度は低く,これらのアプローチのポイントを理論的に理解した上で,実践し,反芻する機会は多くない.ただし,CMFA, OTAにおいては確認して剝離・切断すべき特徴をもった構造が多いため,定型的アプローチ方法の典型と言っても過言ではなく,まずはアプローチのポイントを理解することが肝要である.
本稿では,若手術者を対象とし,CMFAにおける皮切から開頭,そして顕微鏡操作に関して,基本事項を細かく記載した.手術手技は伝統芸と言ってもよい部分があり,その流派によってまったく異なった方法をとっていることを理解した上で,筆者らがなぜそのように行っているかを記述した.なお提示症例は,腫瘍が小さく正常解剖を理解しやすいものを選択した(Fig.1A).
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