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I.はじめに
浅側頭動脈—中大脳動脈吻合術をはじめとするEC—ICバイパス術は脳血流量を増加させる方法として普及してきた.しかし一方では吻合部の中枢側における狭窄性病変の閉塞化,既存動脈瘤の巨大化や破裂,また末梢側における出血性梗塞やbreakthrough現象の出現が報告されるに至った2,7).これらの手術合併症についてはバイパス路設置に伴う血行動態変化が原因であると推定されてはいるが,詳細は不明である.また大きな内径のバイパス路を選択することの功罪や,他の血管部位への影響を最小限に抑えつつ脳血流量を増加させうるかどうかなどの問題について十分な検討はなされていない.
これらの理由の一つとして,生体における血行動態には多くの要素が複雑に関係しているため,そのままでは各要素の定的比較が困難であることがあげられる.そこで著者らは各要素の分析が容易な流体モデルを用い,最近ではこれに理論解析モデルを加えて検討してきた3,6).
There have been several reports about unexpected occlusive change of stenotic lesion in the internal caro-tid artery (ICA) or middle cerebral artery (MCA) fol-lowing bypass surgery, rupture or formation of an aneurysm after carotid ligation and EC-IC bypass for the treatment of inaccessible ICA aneurysm. These suggest that operation for one vessel causes hemodyna-mic changes in others, not only near the operation site but in remote sites.
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