Japanese
English
総説
神経血管圧迫症候群―特に神経血管減圧術の現況
Microvascular Compression Syndrome: Review and Update of Microvascular Decompression Surgery
松島 俊夫
1
,
峯田 寿裕
1
Toshio MATSUSHIMA
1
,
Toshihiro MINETA
1
1佐賀大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Saga University
キーワード:
microvascular decompression
,
trigeminal neuralgia
,
hemifacial spasm
,
glossopharyngeal neuralgia
,
essential hypertension
Keyword:
microvascular decompression
,
trigeminal neuralgia
,
hemifacial spasm
,
glossopharyngeal neuralgia
,
essential hypertension
pp.303-313
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100718
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Ⅰ.はじめに
三叉神経痛や片側顔面痙攣に対する後頭蓋窩神経血管減圧術(microvascular decompression procedure:MVD)は,1970年代のJannettaらの報告に始まり21-23),本邦でも近藤ら28,29),福島13)や福井ら11,12)により普及された.その後改良も加えられ,現在では世界中に広く普及した比較的安全な手術法であり,良好な手術成績が報告されている.これらの疾患の多数例の病因が血管による脳神経への圧迫であることを経験的に証明したJannettaは,脳神経の拍動性血管圧迫により発病する疾患を神経血管圧迫症候群として提唱した22).三叉神経痛と片側顔面痙攣が有名であるが,他に,突発性めまい・耳鳴発作,舌咽神経痛,本態性高血圧症も,第8脳神経,第9脳神経,延髄を血管が圧迫し同様のメカニズムで生じると述べている.加齢とともに硬化を来し屈曲した血管が脳幹部近くで脳神経を圧迫すると,異常な神経回路ができ発病するという考えである.しかし現在では,三叉神経痛の原因としてくも膜炎などによる三叉神経の神経軸の歪みが起因する場合も多々あることがわかってきた.本稿では,これらの疾患群とその治療法,特に外科治療法,神経血管減圧術の各疾患ごとの現況について,われわれの考えと手術法を交え解説する.
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