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2005年1月から2006年12月まで2年間,アメリカ ジョージア州オーガスタにあります,ジョージア医科大学神経内科学教室 Cesario V. Borlongan先生の下,神経移植再生に関する研究留学をさせていただきました.オーガスタ生活でまず思い出されるのは美しい春のことです.オーガスタは「ゴルフのマスターズで有名な」といえばほとんどの方がご存知の,人口20万人程度の小さな町です.マスターズは4月に開催されるのですが,その1週間は大勢のrichな観光客であふれかえり(ホテル料金は3倍程度に上昇します),木々はきれいな花で彩られ,町をあげてのお祭りムードになります.ゴルフコースは本当に美しくすばらしいのですが,私はその頃に舞うマツの花粉にいつも悩まされました.
Borlongan先生は慶應義塾大学で学位をとられたこともあり,ずいぶん親日派で,私を含めて2~3人の日本人ポスドクが中心となって研究が進んでいました.慶應義塾大学脳神経外科からは原 晃一先生,名古屋市立大学神経内科からは松川則之先生,後任で牧 美奈先生が来られ,みなさんに助けていただきながら慌しくも楽しい留学生活が過ごせました(写真1).最初の1年は,アメリカのシステムにも馴染んでおりませんでしたし,常時各種共同研究やラボの持つテーマに追われ,あまり自由な時間もとれませんでした.アメリカに来てすぐの頃は,当たり前のように,いったん家に帰って夕食をとった後,夜中の2時,3時までラボで顕微鏡を覗いていたような気もします.しかし,そんな過密スケジュールの中,6月には日本からは3~4時間で着く台湾へ,片道1日がかりの4泊6日で,9th International Conference on Neural Transplantation and Repair(脳梗塞に対する骨髄由来幹細胞移植の演題)に参加する機会をいただきました.さらに,11月にはワシントンDCの35th Society for Neuroscience学会(パーキンソン病に対する神経幹細胞移植の演題)に乗じてニューヨークへ行ったり,12月にはカリフォルニアの12th International Symposium on Neural Therapy and Regeneration (パーキンソン病に対するNT2N.Nurr1細胞移植の演題)で美しいモントレーの自然を満喫したりと,1年目が過ぎようかという頃にはかなりゆとりも出てきていました.また,ラットの下肢運動抑制モデルにおける神経新生について,ゼロから実験を立ち上げました.大学の動物実験の倫理委員会の承認を得るのに半年かかったものの,ボスに助けてもらいながら,何とか暑いオーガスタの真夏には実験が軌道にのっていました.一方で,まるで共同生活かのようにラットと時間を共にしたことが災いし,次第にラットアレルギーが重症化して,軽い呼吸困難やラットの分泌液に皮膚がみみずばれを起こすようになっていましたが,これも完全防備で実験することと抗アレルギー剤の内服でしのぐことができました.研究面ではそれ以外にも,脳梗塞ラットにサプリメントを毎日与え続けてその影響をみたり,原先生が中心で行っていたRhesus Monkeyに対する虚血実験をお手伝いさせていただいたり,いくつもの実験にかなり混乱した時期でもありました.そんな中でも,伊達 勲教授のお力添えもあり,留学1年目でreview論文などを書かせていただく機会を得,大変勉強になりました.
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