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はじめに
網膜をはじめとする中枢神経系は他の組織に比して,高度に分化した多種類の細胞から成り立っている。現在までに数多くの形態学的あるいは電気生理学的な手法に基づいた研究がなされ,徐々にではあるが,多様な生理的機能が解明されつつある一方で,その多様性を形作る基盤となる物質的,分子論的な背景についてはあまりよく理解されていなかった。この主な理由は,古典的な生化学的方法では技術的な制約により,神経系のような非常にheterogeneousな対象を扱うことが困難であったためである。
これに対して,近年の2つの重要な方法論の進歩,遺伝子操作技術およびハイブリドーマ法によるモノクローン抗体は,この限界を越えるものとして,神経系のみならず多くの分野で注目を浴びているのは周知のとおりである。このうちのモノクローン抗体は従来のポリクローン抗体に比べて,抗原部位との反応性が均一なので特異性が高く,抗原の量が少なくても生体内にそれに反応するリンパ球のクローンさえあれば,そのクローンを取り出すことができる。このためスクリーニングをうまく行なえば,まったく精製されていない抗原材料からも,(未知な物を含めて)目的とする抗原を認識するような特異的抗体を得ることが可能である。
Since monoclonal antibodies provide good tools as molecular probes to identify specific molecules possibly present in discrete cell populations of CNS, we have been so far trying to raise monoclonal antibodies against each cell types of rat retina using retinal membrane fraction as immunogen. We here review our recent works concerning these.
Antibody RET-P is a specific marker of rod plasma membrane in most species so far studied. This antibody reacts with the amino terminal region of opsin.
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