Japanese
English
短報
良好な経過を示した共生精神病の1症例
A Case of Folie a Deux with a Favorable Course
森本 清
1
,
佐藤 光源
1
,
大月 三郎
1
Kiyoshi Morimoto
1
,
Mitsumoto Sato
1
,
Saburo Otsuki
1
1岡山大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Okayama Univ. Med. School
pp.941-943
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203310
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I.はじめに
これまで感応精神病の研究では,病的体験の心理的伝染ともいえる臨床形態とともに,感応成立にかかわる精神病理に関心がよせられてきた。妄想感応型の場合,妄想の発端者と継発者との間の「優位—依存関係」1)が感応成立の重要な因子とされていたが,近年はScharfetter2)の共生精神病(Symbiontische Psychose)のごとく当事者間の共生関係,とくにその社会への閉鎖性が重要視される傾向にある。
今回,妄想を共有する母・娘症例を経験したがその妄想の感応成立には「優位—依存関係」ではなく,実生活面における共生関係とその行き詰まりとが関与し,良好な経過から心因反応として理解しうる症例であったのでここに報告する。
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