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I.緒言
T細胞に関する多くの知見が集積されてきている。すなわちT細胞がいくつかのサブセットに分類され,おのおのの機能がマウス,ラット,ヒトにおいて確認されている。臨床の場において,各種疾患におけるT細胞ないし,そのサブセットの量的,質的変動に関する報告,またその病因が免疫学基盤に求められ,そこにおいて,T細胞の異常が大いに関与していると考えられる疾患の報告がみられる。神経疾患における免疫学的検討も,近年多くなされ,免疫とのかかわりが大きいものがかなり存在することが示されている。
そこで本稿では,比較的多くの知見が寄せられているヒトの脱髄疾患のアナローグとしてのexperimental allergic encephalitis(EAE),そしてヒトにおける多発性硬化症(MS),亜急性硬化性汎脳炎(SSPE),一部の脳腫瘍について,疾患の成因とT細胞との関係を整理し,かつ著者の若干の推論を許していただき論じてゆきたいと思う。本稿に入る前に,T細胞のサブセットとその機能について若干触れておくことにする。
Abstract
The relationship between T cells and some neurological diseases, mainly the role of T cells in their pathogenesis was reviewed.
1. Experimental allergic encephalomyelitis (EAE)
Neurological lesions can efficiently be elicited in animals, using sensitizing antigens, such as the homogenates of brain vessels, peripheral nerve tissues or basic proteins of myelin. The lymphocytes sensitized with these antigens are supposed to play a major role to cause demyelination and these sensitized lymphocytes are transfered into unaffected animals to elicite EAE.
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