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I.はじめに
脳波は大脳活動の機能的表現であるが,大脳の器質的変化に伴なって変化することはいうまでもない。初老期痴呆は大脳に明確な形態学的変化が慢性に進行する疾患であり,偶発合併症以外は脳波に影響を及ぼすような中毒性,代謝性その他の障害は認められていない。したがって脳波変化の器質性基盤を,人脳について研究するには適切な素材の一つであろう。
われわれはAlzheimer病(以下A病)とPick病(以下P病)26例について,臨床症状と脳波像の変化を継時的に追求し,これと11例の剖検所見をあわせて比較検討した。その結果,さきに予報18,19)した通り,両疾患における脳波基礎律動は,皮質のみならず脳幹における病理学的変化の進行,あるいは有無に対応して,それぞれ特徴的な変遷過程を辿り,侵襲の程度と拡がりをある程度反映していると考えられた。さらに異常脳波所見,とくにある種の大徐波波型の出現機序を病理学的所見から説明し,またα波・速波のごとき正常要素についても,大脳変性に基づく消失過程から,逆にその成立要件に対して考察を進めることができたと考える。
Abstract
Sequential alteration of EEG patterns alongwith the clinical course was studied in Alzheimer's and Pick's diseases (14 and 12 cases, respectively) for a period of 1.5 to 21 years (mean: 7 years). EEGs were followed up to the terminal stage and were recorded 6 to 42 times (mean: 22 in Alzheimer's disease and 15 in Pick's disease).
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