Japanese
English
特集 失語・失行・失認
失語の分類とその実際—古典的分類とGeschwind派の分類
On the classification of aphasic symptom complex
山鳥 重
1
Atsushi YAMADORI
1
1神戸大学医学部精神神経科学教室
1Kobe University School of Medicine, Department of Neuropsychiatry
pp.869-878
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904794
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失語研究は現在,1861年のBrocaの論文に始まる19世紀後半から20世紀初頭を遙かにしのぐ隆盛を示している1,2)。しかし研究者が増え関心が増加するにつれて,研究の対象たる失語症が,神経病の症候であり大脳局在病変の結果であるという本来の姿が見失われる危険がある。
本論では失語研究の多様な流れの中でも,Boston大学,Harvard大学,Boston VA病院失語研究センターを中心に活動する,N. Geschwind,F. Benson,H. Goodglass,E. Kaplanらの業績を中心に,失語症を主に症候分類の側面から概括する。中心的存在であるN. Geschwindは,失語症を心理現象としてのみ議論する研究者が多い大勢の中で,Wernicke以来の伝統に棹さして,大脳解剖学の精密な理解に基づいた大胆な仮説を樹て続けている。従来軽視されがちであった失語症と大脳の解剖構造との相関の問題に真向から挑戦している点,この分野の研究者の中ではきわめて注目すべきであろう。特に神経病学者に与えている影響は最も大きいと言っても過言ではない。
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