古典のページ
Asbjörn FöllingのImbecillitas Phenylpyrouvicaについて
黒川 正則
1
1東大医学部脳研究所
pp.290
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904505
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この論文が書かれてからすでに34年が経過した。先天性アミノ酸尿症の研究史を顧みるとこの30年,ことに1950年以後の20年間は大変長い時期であるはずだが,いまこの論文を読みかえしてみるとき,内容の重みとみずみずしさは,たとえばこの論文が数年前に書かれたものだといわれても,特別おかしいとは感じられないほどである。はたしてこの論文が古典と称される種類のものかどうかはぼくにはよく判らないが,凡百の論文を網羅するよりも,ただその一編に触れる方がより核心を貫くという型の論文であることは疑いない。
近代的な機器的分析以前の1930年代初期に,古典的な有機分析の手法を用いてフェニル・ピルビン酸を尿中から分離,同定した努力は評価さるべきであり,また芳香族アミノ酸の代謝経路がハッキリしない時期に,フェニルケトン尿症における代謝欠陥の本筋を洞察した眼力も並々ならぬものというべきである。
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