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特集 日本脳炎
日本脳炎の神経病理学における電子顕微鏡の寄与
Some Contributions of Electron Microscopy to Neuropathological Problems in Japanese Encephalitis
小柳 新策
1
,
生田 房弘
1
Shinsaku Oyanagi
1
,
Fusahiro Ikuta
1
1新潟大学脳研究所神経病理学教室
1Department of Neuropathology Brain Research Institute, Niigata University
pp.246-257
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904406
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I.はじめに
少なくとも生体内では,日木脳炎ウイルスは神経細胞内で増殖する,ということが,電子顕微鏡(以下電顕)によるわれわれ15)〜19)やYasuzumi & Tsubo23)の観察,草野10),鈴江・浜島20),安井ら21)22)の螢光抗体法による観察で明らかにされてきた。
このような事実は,従来,日本脳炎の神経病理学の中でその特徴的な病変として光学顕微鏡(以下光顕)下に把えられながら,今日なおまつたく未解決であるというほかないperivascular cuffingやglial nodule,acellular plaqueやneuronophagiaなどの成因になんらかの示唆を与えてはくれないものであろうか? また1935年,林4)により行なわれたサルによる実験以来,日本脳炎の神経病理学最大の関心事はその発生病理の解明にあつたが,in vivoの神経組織内における日本脳炎ウイルス粒子そのものの動向や消長と,そのさいに惹きおこされるsubcellular levelでの細胞の反応態度とを比較検討することによつて,こうした発生病理解明の端緒を把握することはできないものであろうか?
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