Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題 脳循環
脳血管の比較解剖学的研究
Comparative Anatomy of the Blood vessel Supply of the Vertebrate's Brains
和佐野 武雄
1
Takeo Wasano
1
1九州大学医学部解剖学教室
1Dept. of Anatomy, School of Medicine, Kyushu Univ.
pp.530-534
発行日 1966年10月25日
Published Date 1966/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904342
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Ⅰ.緒言
脳循環の様相は他の臓器循環に較べて特異な点が多く,興味深いのみならず,脳循環障害がわが国の死亡率の第1位を占めることから,これに関する研究は各専門分野の重要課題となつている。ところがそれらの研究の基礎となるべき脳血管の形態学の分野においては,意外にも未開拓のままである。すなわち従来の研究は脳の一部の血管に限られたものが多く,広く脳脊髄全般にわたるものがきわめて少ない.また,ヒトの脳血管の形態や破格を理解するには各種脊椎動物についての比較解剖学的知識が必要であるが,これについて比較的広範囲にわたる研究を発表しているのは,Hofmann(1900-1901),Abbie(1934),八田(1936)らにすぎず,しかもそれらはただ脳表面の血管に関するものである。他方,特に重要な脳内血管構築についてはほとんどみるべき業績がなく,わずかにPfeifer(1930)らが人脳を中心として主に皮質部の血管構築について比較的詳細に報告しているにすぎず,その内容にはなお疑問の点が少なくない。この見地からわが研究室ては過去約15年間にわたり,魚類から哺乳類に至る各種動物の脳表面の血管分布はもとより,脳内部全般の血管構築について比較解剖学の立場から研究を進めているのでその結果を一部概括的に報告する。
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