特集 第6回神経病理学会
会長演説
神経病理研究の回顧と将来の展望
王丸 勇
1
1久留米大学医学部精神神経科
pp.309-311
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904304
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従来の神経病理懇話会も第6回を迎えて,日本神経病理学会として学会の形をとることになつた。誠に順当な発展ぶりである。ふり返つてみると,わが国の精神医学の先達には脳病理を攻究した人がきわめて多く,毎年の日本神経学会(現在の日本精神神経学会)の総会では,その演題数の大部をうずめたものである。それが時代の変遷とともに様相も変り,精神科以外の方面からの研究者も多くなつたが,戦後は一時演題数がきわめて少なく淋しいものになつた。この時各方面の少壮有為の研究者によつて神経病理懇話会が催され,回をかさねるとともに熱心な参加者の数を増し,特に標本をみながら忌憚なく話し会うという雰囲気は,会の特色ともいうべきものとなつた。
今回は特に海外で注目された脳腫瘍,ことにその初期におけるウイルスとの関連について生田助教授に特別講演をお願いし,また老人も発言してはとのお薦めから僭越ながら小生の昔語りを主とする講演となつた。一般演題は前年度の倍数近く集まり,主催した田舎の大学としては光栄のいたりで,また長年この脳病理をやつてきた私としても誠に本懐のいたりである。
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