特集 第5回神経化学懇話会
第5回神経化学懇話会・序
中 脩三
1
1大阪市立大学医学部
pp.694-695
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904047
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この学会もすでに第5回のシンポジュウムを催すことになりその演題,或いは内容ともに非常に嶄新,有益,正確な報告になりつつあることはよろこびに堪えない次第であります。今回はまず,内因性精神病と精神薄弱の代謝異常をとり上げいろいろの演題について沢山の討論が行なわれそれを刻念に記載してあるものでわが国はもちろん世界的観点から見ましても意義深いことと思われます.ことに分裂病の生化学となりますとその範囲は無限であり,単に脳全体としての物質代謝のみならずその各部分の代謝異常はもちろん,そのいろいろな体液の異常に対する反応であるとか或いは毒物というようなものも新らしい観点から考えられ詳しい研究が主たくり返されて行なわれるであろうと思います。何といつても精神分裂病は何かやはり器質的な脳の変化,これは昔は組織学だけでもつて調べられ神経細胞の消失,血管のスパスムス,前頭葉の萎縮等が問題となり,またある精神分裂病と同じような徴候を示したものの中に約20%のロイマクノーテンが発見されたという報告もあります。ことに週期性の精神分裂病では全身の窒素代謝に非常に大きな変化のあることがゲッシングによつて証明されている。精神分裂病を生化学的な対象として各方面から調べることは非常に大切であろうと思います。しかしながらその点に関してどうしても臨床的な記載というものが本当にしつかりしていなければいけないと思う。
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