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はじめに
眼球の運動をつかさどる外眼筋は,他の骨格筋に比べて異なった特徴を持つであろうことは,いろいろな面から想像される。たとえば,重症筋無力症においては,外眼筋がほとんど常に,また高度に侵される。一方,筋萎縮性側索硬化症では外眼筋が侵されることはきわめてまれで,全身の骨格筋の萎縮をきたす末期になっても,眼球運動だけは正常に保たれているのが常である。これらの事実は,外眼筋,およびそれを支配する神経を含めた神経筋系が,他の骨格筋とは異なったなんらかの特性を有していることを推測させる。
外眼筋に関しては,従来,組織学的,組織化学的,さらに生理学的な面からは種々の研究がなされてきており,外眼筋に特有の性質が,種々明らかにされてきている。ところが,生化学的な面からの研究は皆無に等しい。これは,筋肉生化学者の研究対象が,骨格筋,それも主として家兎骨格筋(白筋)にむけられていたことによるが,また,外眼筋は小さな筋肉であるために材料が取りにくく,この少量の材料を用いて生化学的な実験を行なうことの困難さもあずかっていたといえよう。
Biochemical studies on extraocular muscle of rabbit were presented and the data were compared with those of different fiber types of skeletal mus-cle. Some reports concerning biochemical char-acteristics of extraocular muscle were reviewed.
Myosin and actomyosin ATPase activities of extraocular muscle showed almost the same values as in fast-twitch fibers, however, EGTA effect on Mg-actomyosin ATPase activity was significantly low in extraocular muscle, which suggests that troponin activity is low in this muscle.
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